バレンタイン・イブ

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「は〜ぁ…」
綺麗にラッピングされた、市販のバレンタインチョコを前に、園村麻希は小さく溜め息を付いた。
「なんで私ってこんなにダメなんだろう」
明日はバレンタイン。片想いの幼馴染みがいる麻希にとっては、絶好の告白のチャンスである。
だからこそ、手作りのチョコレートで彼に想いを伝えようと意気込んでいたのだが、初めてのチョコ作りは敢えなく失敗。
泣く泣く近所のスーパーで一番見映えの良いチョコを買ってきたのであった。
「絶対手作りチョコをあげるんだ、なんてエリーと二人で張り切ってたのになー。」
指でチョコの包みをピン、と弾き麻希はまた溜め息をつく。
麻希の親友であり、同時に恋のライバルであるエリーこと桐島英理子。彼女は容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群で明るく優しい性格というまさに「完璧」な美少女だ。
そんな彼女を男子が放っておくわけもなく、当然彼女に好意を抱く存在は多い。
それはもしかしたら自分の想い人も同じかも知れない、と麻希は思っていた。実際彼に直接聞いたわけではないので確信なんてあるはずがないけれど……。

「勝てっこないよ。照れくさいから二人で一緒にチョコ渡しに行こうなんて言わなきゃよかった…」

弱気になってしまう。
自分にないものをいっぱい持っている英理子が羨ましくて、妬ましくてどうしようもなくなってしまう。
すぐ弱気になって、他人を羨んでしまうのは麻希の悪い癖だった。
「だめだよね、こんな事考えてちゃ…私は私なんだから、自信持って頑張らないと。」

彼にあげるチョコレートは上手にできた。
告白する時に、なんて言うかもちゃんと考えてある。
あとは明日になるのを待つだけ。
ただそれだけなのに、どうして自分は不安になっているのだろうか…?
相手に断られるのが怖いから?
もしあの人と両想いになれたとして、その後どうやって麻希に接すればいいかわからないから?
あの人と麻希が両想いになった時、祝福できる自信が自分には全くないから?
きっと全部当てはまっているんだと思う。
大好きなあの人と親友の麻希…二人とも自分にとっては大切な人。
バレンタインデーの明日、告白する事で二人との今までの関係は壊れてしまうかも知れない。
それでもいい、後悔なんてしない、なんて言いきれない。
麻希に一緒に告白しようって誘われたとき、「どちらが上手くいっても、決して恨みっこはなしですわ」と言ったのは自分なのに。
ううん、本当は自分にそう言い聞かせたかったのかも知れない。
何かを失う事を恐れたり、大切な人を憎んでしまうかもしれない臆病で情けない自分に。

「…らしくありませんわよ、英理子。」

何があっても二人を大切に思う気持ちを失わないように、不安がる自分自身に負けないように、もう一度自分に言い聞かせた。

あと少しづ日付が変わり、バレンタインデーが訪れる。
今頃、あの人たちはどうしているのだろう?
この片想いはどんな結末を迎えるのだろう?
明日の夜、全てが終った後で自分はどんな気持ちでいるのだろう?

答えを知ることのない疑問、戸惑い、期待、そして愛しい人への想いを胸に秘めて少女達はそれぞれのバレンタインを迎えることになる。

おしまいでつ。初めはマキエリにしよう、とかバレンタインデーらしく甘々エロでいこうとか色々と考えていたのですが、何故かこんなワケのわからない作品になってしまいますた(;´Д`)トホホ
バレンタイン前日とかいって、もう過ぎてるし(W
それはそうと麻希もエリーも本当に可愛いでつ。もちろん綾瀬たんやゆきのさんも。主人公は幸せものですな。
ではヘボン乱文、失礼いたしました。

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